採用できない中小企業が抱える本当の課題と、その打開策とは？

COLUMN

2025.05.23

売り手市場で進む人材獲得競争。中小企業にとって採用はますます困難に

2025年現在、有効求人倍率は全国平均で1.26倍（※厚生労働省 2025年3月時点）と、求職者数よりも求人の方が多い売り手市場が続いています。特に中小企業では、「応募が来ない」「良い人材がいない」「入社してもすぐ辞める」といった悩みを抱えるケースが顕著です。

実際、日本・東京商工会議所の2019年に実施した「人手不足等への対応に関する調査」によると、中小企業の約66.4%が「人材不足により事業に影響が出ている」と回答しています。これは単なる採用の問題ではなく、企業の存続や成長を脅かすレベルの経営課題といえるでしょう。

人材採用において、「良い人材が集まらない」「応募はあるのにミスマッチが多い」といった悩みを抱えている中小企業は少なくありません。人材不足の影響で業務が回らない、既存社員の負担が増す、新規事業が展開できない—こうした課題は、企業の成長を阻む深刻な問題です。

では、なぜ中小企業は「採用できない」のでしょうか？

多くの場合、その背景には“情報ギャップ”という見えにくい課題が潜んでいます。これは、企業の魅力や働きがいが、求職者に正しく伝わっていない状態を指します。どれだけ魅力的な企業文化や働きやすい環境を備えていても、それが伝わらなければ、応募にはつながりません。

求職者が企業選びの際に参考にする情報源の一つが、口コミサイトです。ところが、これらのサイトに投稿されているのは、退職者によるネガティブな評価が大半を占めているケースが多くあります。

その結果、実際の職場の雰囲気ややりがい、現在の改善された労働環境などが届かず、誤解や偏った印象を持たれてしまうリスクが高まります。これが、いわゆる“情報の歪み”を生み出し、結果的に「採用できない中小企業」という構図につながっているのです。

こうした状況を打開するカギとなるのが、「現職社員の声」によるブランディングです。

たとえば、現場で働く社員が、自らの仕事のやりがいや日々の業務、チームの雰囲気などを語ることで、企業の“今”を等身大で伝えることができます。これにより、求職者が企業文化や働く価値を具体的にイメージでき、応募前の不安を軽減する効果があります。

ここで注目したいのが、VOiCEが提供する採用ブランディング支援です。

VOiCEでは、現場で働く社員が語る日々の仕事内容や職場の雰囲気、やりがいといった“リアルな声”を丁寧に引き出し、それを可視化します。表面的なPRではなく、社員一人ひとりの声で、企業の価値観や文化を第三者に伝わる形で整理・発信するのが特長です。

このような採用広報は、単なる「募集要項」の延長ではなく、企業としての“姿勢”や“人となり”を伝える重要な役割を担います。求人広告だけでは伝えきれない「働く意味」や「未来への期待」を補完するのです。

応募者とのミスマッチが多い中小企業にこそ、この「社員の声」を起点としたブランディングは効果的です。

求職者は、単に給与や待遇だけでなく、「自分がここで働けるか」「価値観が合うか」といった“感覚的な適合性”を重視しています。現場のリアルな声に触れることで、「この人たちと働いてみたい」「自分もここで挑戦したい」といった共感が生まれやすくなり、自然と応募の質も向上します。

中小企業が大手企業と採用競争を行うのは決して容易ではありません。知名度や資本力といった面では不利な立場にある中で、どのようにして求職者に選ばれる存在になれるのかが問われています。

その鍵となるのが、「信頼」と「共感」です。

企業の考え方や現場で働く人々の想いを丁寧に伝えることで、求職者の心に響くコミュニケーションが生まれます。VOiCEのように、実際に働いている人の言葉を活かしながら企業の姿を描き出す取り組みは、他社との差別化を図る上でも非常に有効です。

採用に悩む中小企業こそ、自社の魅力や働く意義を「人」を通じて発信し、企業の“今”と“未来”を誠実に伝えていくことが重要です。