介護業界の新卒採用が難しい理由と成功のポイントとは?
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2025.07.23
介護業界では、慢性的な人手不足が続いています。高齢化の進行により介護サービスの需要が増える一方で、人材の確保は年々難しくなっており、特に新卒採用に課題を抱える企業も少なくありません。
「仕事が大変そう」「給与やキャリアに不安がある」といったイメージが若年層の関心を集めにくくしているのが現状です。
しかし、採用環境が厳しい今だからこそ、自社の魅力を正しく伝え、学生との信頼関係を築く採用戦略が求められています。
本記事では、介護業界の新卒採用が難しい背景を整理し、採用を成功に導くためのポイントや、現職社員の口コミサイト「VOiCE」を活用した効果的な取り組みをご紹介します。
介護業界の採用市場の現状
高い有効求人倍率が続く介護業界
介護業界では、有効求人倍率が他業種に比べて高い水準で推移しており、人材の確保が長年の課題となっています。
厚生労働省のデータによると、介護職の有効求人倍率は全職種平均の約2倍前後で推移しており、採用競争の激しさが際立っています。
出典:厚生労働省「図表1-2-39 有効求人倍率(介護関係職種)の推移(暦年別)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/21/backdata/01-01-02-39.html)
この状況は、求職者1人に対して複数の求人があることを意味し、企業間の人材獲得競争が非常に厳しいことを示しています。
高齢化による需要増と若年層の介護職離れ
高齢化が進むにつれて、介護サービスの需要は年々拡大しています。
一方で、若年層の介護職離れが進んでおり、新卒採用が思うように進まない施設も少なくありません。
「給与が低い」「仕事がきつい」「夜勤がある」といったイメージが根強く、学生からは“ハードな仕事”として敬遠される傾向にあります。
介護業界へのネガティブなイメージ
内閣府の調査によると、介護職を「社会的に意義のある仕事」と評価する人が多い一方で「きつい仕事」と感じる人が65%以上にのぼります。
このように、社会的意義の高さが認められながらも、労働環境に対するネガティブな印象が強い点が、若年層の応募を遠ざける一因となっていると考えられるでしょう。

介護業界の採用課題:中途依存から新卒採用強化へ
多くの施設では、即戦力を求めて中途採用に依存する傾向があります。
しかし、長期的な人材育成や組織の安定を考えると、新卒採用を強化し、若手人材を計画的に育てることが重要です。
今後は、介護業界全体で「若手に選ばれる職場づくり」と「自社の魅力発信力の向上」が重要なテーマとなるでしょう。

介護業界で新卒採用が難しい主な4つの理由
1. 若い世代の関心を集めにくい業界構造
介護業界は、IT業界やメーカーなど他業界と比べて、学生の関心を得にくい状況が続いています。
マイナビの調査によると、2022年の「就職先として検討したことのある業界」ランキングで介護業界は30位以下に位置しており、学生からの興味関心が低いことが明らかになっています。
出典:マイナビ調査(https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2021/05/22_gyoukai_zentai.pdf)
この背景には「給与が低そう」「体力的に大変そう」といった固定的なイメージが根強く、職業としての魅力が十分に伝わっていない点があります。
2. キャリアパスの不透明さによる将来への不安
新卒が介護業界を敬遠する理由のひとつに「将来のキャリアが描きにくい」という不安があります。
「どのようにスキルアップできるのか」「何年後にどのようなポジションを目指せるのか」といったキャリアパスが見えづらく、長期的な成長を志す学生ほど、ほかの業界を選びやすくなる傾向があります。
実際には、介護福祉士からリーダー職、施設長などへのキャリアアップも可能ですが、こうした情報が十分に発信しきれていないことが課題です。
3. 介護業界と学校との接点不足
介護職に興味を持ってもらうためには、学生と業界の接点を増やすことが欠かせません。
しかし現状では、学校訪問やインターンシップなど、職場体験の機会が限られており、学生が介護現場を“体感”できる機会が少ないのが実情です。
結果として、介護職のやりがいや社会的意義が十分に伝わらず、イメージ先行で敬遠されてしまうケースもあります。
4. 介護施設の新卒採用担当者のリソース不足
多くの介護施設では、人事担当者が採用・教育・広報などを兼務しており、十分な採用活動リソースを確保しにくい現状があります。
限られた人員で応募対応や広報を行う中では、求職者との丁寧なコミュニケーションや情報発信に手が回らないことも。
結果として、学生に「どのような職場なのか」「どのような人が働いているのか」を具体的に伝えきれず、採用の機会損失につながっている場合もあります。
新卒が介護業界に求めているポイント
働く環境の安心感と人間関係の良さ
学生が介護業界に対して特に不安を感じるのが「人間関係」と「職場の雰囲気」です。
チームワークが求められる職種であるため、入社前から「先輩が優しく教えてくれるか」「困ったときに相談できる雰囲気があるか」といった安心感を重視する傾向があります。
そのため、実際に働く職員の声や、現場の様子をリアルに伝える発信が、応募動機を高める上で重要になるでしょう。
成長を実感できる教育体制・キャリアパスの明確さ
「スキルを身につけたい」「資格を取得してキャリアアップしたい」と考える学生は多く、
入社後にどのようなサポートが受けられるのか、どのような成長が見込めるのかを具体的に示すことが求められます。
介護福祉士やケアマネジャーなど、明確なキャリアパスを提示することで、仕事への将来性や安心を感じてもらいやすくなります。
社会貢献性や“やりがい”への共感
介護の仕事は「人の役に立てる」「誰かの人生を支える」という社会的意義の高い仕事です。
その“やりがい”に共感する学生も多いでしょう。
一方で、日々の業務内容や職員が感じる喜びが十分に伝わっていないケースも多いため、
実際のエピソードや入職者インタビューを通じて、“人を支える仕事の魅力”を可視化することが効果的といえます。
SNSや口コミで伝わる“リアルな職場の雰囲気”
最近の学生は、求人票やパンフレットだけでなく、SNSや口コミサイトで企業情報を調べる傾向があります。
特に介護業界のように現場の雰囲気が見えにくい業種では、動画や写真、スタッフの声など“リアル”な情報発信が重要です。
「どのような人が働いているのか」「職員同士の関係性はどうか」といった具体的な情報が、学生の安心感と信頼につながります。
介護業界で新卒採用を成功させるためのポイント
介護業界の新卒採用を成功させるには、学生に「安心して長く働ける職場」と感じてもらうことが重要です。
ここでは、介護職の魅力を伝えつつ、採用活動の成果につなげるための具体的なポイントをご紹介します。
働きやすい環境を整備する
近年、介護業界では柔軟な働き方の導入が進んでいます。
例えば、週休3日制や短時間勤務制度を導入することで、育児や介護と仕事を両立しやすい職場づくりが可能です。
また、希望シフト制を取り入れることで、ライフスタイルに合わせた働き方を選べるようになり、ワークライフバランスの向上にもつながります。
こうした取り組みを新卒採用の段階でアピールすることで、学生に「働きやすい介護職」という印象を持ってもらえる可能性が高まります。
有給休暇を取りやすくする仕組みをつくる
介護業界では「休みが取りにくい」というイメージを持たれがちです。
そのため、有給休暇取得の促進や休暇制度の柔軟化を行うことが、採用ブランディングにもつながるといえます。
計画的な休暇取得の奨励や、代替要員の確保などを実施し、誰もが安心して休める職場づくりを進めましょう。
「しっかり休める介護職」であることを伝えることで、学生の安心感を高められます。
介護ロボットやICTの導入で業務を効率化する
介護ロボットやICTシステムの導入は、職員の負担を軽減し、働きやすさを高める効果があります。
例えば、移乗支援ロボットを導入すれば、腰への負担を軽減できます。
また、電子記録システムを使うことで、手書き作業を減らし、より利用者へのケアに集中できる環境を整備できます。
新卒採用の説明会や採用サイトで、こうした最新技術を取り入れた取り組みを紹介すると、学生に「先進的で安心感のある職場」という印象を与えられます。
キャリアアップモデルと給与の見通しを明確にする
介護職は、経験を積むことでスキルアップやキャリアアップが可能な仕事です。
採用活動では、介護福祉士やリーダー職、管理職などへのキャリアパスの具体例を提示するとよいでしょう。
また、キャリアごとの給与推移を示すことで、学生に「将来の見通しが立つ職業」という安心感を与えられます。

介護職のやりがいと社会的意義を伝える
介護職の大きな魅力は、利用者や家族から直接「ありがとう」と感謝される機会が多いことです。
日々の業務を通じて人の役に立てる実感が得られる点は、他の職種にはないやりがいといえるでしょう。
採用活動では、職員の実際のエピソードを交えて「社会貢献性の高い仕事」であることを伝えると、学生の共感を得やすくなります。
介護現場で働く社員の声を発信する
介護業界のリアルな魅力を伝えるには、現場の声を活かした発信が欠かせません。
現職社員のインタビューや1日の仕事の流れを紹介することで、学生が働くイメージを具体的に持ちやすくなります。
また、現場発信によるリアルな情報は、企業への信頼感を高め、新卒採用活動の成果にもつながる可能性が高まります。
※当メディア「VOiCE」では、現職社員の口コミやエピソードを通じて、企業の魅力をリアルに発信しています。これまで260社以上の企業様が導入し、母集団形成や採用活動の参考に活用されている事例があります。
介護業界の新卒採用を成功させるためには、働きやすさ・成長機会・やりがいの3つをバランスよく伝えることが大切です。
学生が「ここで働きたい」と思えるような情報発信を行い、採用活動を戦略的に進めましょう。
「VOiCE」を活用した介護職の新卒採用
介護業界の新卒採用では、学生に「働く現場のリアル」を伝えることが重要です。
求人票やパンフレットだけでは、職場の雰囲気や仕事のやりがいを十分に伝えるのは難しく、結果として学生の関心が集まりにくい場合があります。
そこで活用できるのが、VOiCEのような現職社員による口コミサイトです。現場で働く社員の声を集めて可視化することで、学生が具体的なイメージを持ちやすくなります。
VOiCEでできること
VOiCEは、現職社員が実際に働く環境や業務内容、職場の雰囲気などを投稿できる口コミプラットフォームです。
企業は、社員の声を参考にしながら学生が知りたい情報を整理して採用広報に活用できます。
例えば、以下のような情報を提供できます。
- 日々の仕事の様子やチームでの協力体制
- 教育・研修制度の内容
- 働き方や休暇制度に関する社員の体験談
- キャリアアップや成長の実感
これらの情報は、学生が「自分に合った職場か」を判断する材料になり、新卒採用の応募意欲向上につながる可能性があります。
採用活動への活用方法
VOiCEの情報は、採用サイトや説明会資料、SNS発信などに活用できます。
具体的には、社員のコメントやエピソードを採用ページで紹介することで、学生が職場の雰囲気をイメージしやすくなります。
また、SNSや動画と組み合わせることで、より多くの学生にリーチしやすくなります。
ポイントは、事実や体験を正確に伝えることです。学生が現場の様子を理解できるよう、正しい情報の提供を心がけることが大切です。
中長期的な介護職の新卒採用戦略としての活用
新卒採用では、短期的な応募数の増加だけでなく、入社後の定着や育成も考慮した中長期的な採用戦略が求められます。
VOiCEを通じて社員のリアルな声を継続的に発信することで、企業の透明性や信頼性が学生に伝わり、応募者の質向上や定着率向上にもつながる可能性があります。
介護業界の採用は“魅力づくり”から始まる
介護業界の新卒採用では、職場環境の整備やキャリアパスの提示、業界に対するネガティブイメージの改善が重要です。
学生は、働く環境の安心感や成長の見通し、やりがいを重視して職場を選ぶ傾向があります。
こうした中で、現職社員の声を活用した情報発信は、学生が職場の雰囲気や業務内容をイメージしやすくする方法のひとつとして活用できます。
採用活動は、単に求人情報を掲載するだけではなく、企業文化や成長機会、働きやすさを戦略的に伝えることが、長期的な採用戦略のサポートとなる可能性があります。
今後の新卒採用では、働きやすさや職場のリアルな情報を学生に届ける取り組みが、応募者の質向上や定着率改善の一助となるでしょう。